NY医学研修プログラム
医学類6年 笠原 理愛
この度、3月19日から31日まで、アメリカ合衆国のニューヨークにて行われました、未来医療研究人材養成拠点形成事業・NY医学研修プログラムに参加させて頂きました。
プログラムは大きく、Pace Universityでの医学英語トレーニング、St.Barnabas Hospitalでの医療面接simulationトレーニング、Phelps HospitalでのACLSトレーニングという内容でした。また、これらのトレーニングに加え、New York Hospital Queensの見学や、Nihon Clinicの見学などもさせて頂きました。
1) 医学英語トレーニング(Pace University)
St.Barnabas Hospitalでのシュミレーションに向け、主にどのように英語で問診や身体診察を行うかをグループワークで練習しました。このグループワークは患者・患者の家族・医師・医師のサポート役の4役に分かれ、自分たちで症例を作成し、問診を行うというものでした。英語での問診のシュミレーションは何度か経験したことがあったのですが、4役に分かれてのグループワークという形は初めてで、数多くの症例を練習することが出来、とても良いトレーニングでした。1症例が終わるごとに、私達の英語を先生が修正し指導して下さり、医療面接により適した自然で分かりやすい言い方を学ぶことが出来ました。また、患者さんに対して話す英語と、医療関係者に向けて話す医学英語の使い分けも難しく、特に患者さんから得た情報を上級医に簡潔にプレゼンテーションするというトレーニングはとても勉強になりました。
2) 模擬患者とのsimulationトレーニング (St.Barnabas Hospital)
続いて、模擬患者とのシュミレーショントレーニングが行われました。模擬患者の方々は、現地の医学生や医療関係者との模擬面接の訓練を受け、様々な大学や病院で実際にトレーニングを行っていらっしゃる方々でした。
また、指導して下さった先生方は医療面接の教育を専門に行っていらっしゃる方々で、シュミレーションを始める前に先生方の行う見本の面接を見て、どのようなコミュニケーションをするのか、どのような英語の使い方をするのか等、医療面接において大事な点について議論を交えつつ教えて頂きました。
シュミレーショントレーニングは15分間の医療面接、10分間のフィードバックというサイクルを、部屋を移りながら次々と行い、全て終わった後にビデオにて確認するというものでした。医療面接では各々の症例に必要な問診を考え、そしてその場にあった英語を選択するのが難しく、最初は模擬患者の方からフィードバックで多くのアドバイスを頂いていました。しかし、繰り返し何度も練習するうちに、スムーズに問診を行い必要であれば患者さんの気持ちに配慮した言葉なども織り交ぜながら患者さんとのコミュニケーションを行う事が出来るようになっていきました。ビデオでのフィードバックは、初めはあえて音声を流さず、話を聞く姿勢や患者さんとの距離感・身振り手振りなどを客観的に見直すというもので、このようなフィードバックは今まで経験したことがなく、とても新鮮でした。シュミレーショントレーニングを通して、英語での問診や身体診察のみならず、医療面接での立ち振る舞いなど、日本での医療面接でも生かすことが出来ることも学習できたと感じています。
3)ACLSトレーニング (Phelps Hospital)
Phelps Hospitalにて行われたACLSトレーニングでは、2日間に渡り、講習やsimulationを行った後、ACLSの資格を取得しました。トレーニング専用のシュミレーションセンターで高度なシュミレーション機器を使いながら、講習を受けました。ACLSは日本語で取得するのも容易ではない内容ですので、英語で講習を受けるのはなかなか困難でしたが、顎英語のよい勉強にもなり、とても充実した講習を受けることが出来ました。
4)その他:病院・クリニック見学 / 現地の先生とのお話
New York Hospital Queensという病院を見学させて頂きました。この病院はQueensという地区にある病床数約500程の病院です。見学させて頂いたのは、心臓血管センターと救急部でした。心臓血管センターでは、1つのフロアに急性期で最も重篤な患者さんの入院するCardiac Care Unit、手術後などの特別なケアを必要とする患者さんの入院するCardiovascular Recovery Unit、比較的軽症の患者さんの入院するCardiology Stepdown Unitが区分して配置され、検査室なども同じフロアに配置されていました。また年間12万人の患者さんが来院するという救急部は、見学させて頂いた当日も数多くの救急患者さんが来院しており、トリアージから治療までが体系的にスムーズに行われていました。
また、滞在中、ニューヨークにて実際に臨床の現場でご活躍されていらっしゃる日本人医師の方々や数年間の留学として渡米中の医師の方々、現地のアメリカ人医学生の方々とお会いしお話させて頂く機会が数多くありました。アメリカで医師として働く事になった経緯や、アメリカで医師として働く難しさ、日本との医療の違い、留学にむけて必要な事、など貴重なお話を聞かせて頂きました。先生方はどなたも多様な背景を持った方々ばかりで、本当に興味深いお話を沢山伺うことが出来ました。
2週間ではありましたが、毎日英語に触れ、様々なトレーニングを行うのは本当に貴重で充実した体験でした。自身の医学および英語学習に足りない点を実感することが出来、今後の学習への大きなモチベーションになったように思います。
最後になりましたが、今回このような機会を与えて下さいました関係者の皆様に深く御礼申し上げます。この貴重な経験を今後に生かして行けるようこれからも精進していきたいと思います。