プログラム活動

NY医学研修プログラム

医学類 6年 小野田 祐司

 みなさんこんにちは。6年生の小野田と申します。春のNY研修プログラム時は5年生でした。5年のおわり頃といえば、一般的には具体的な進路など決まってくる時期であると思います。
 自分についていえば、臨床と研究ならば研究の道に進みたいという思いがあり、分野は神経学と決めていました。けれど、まだ具体的に卒業後どこへいき、どういった場所で研究するのがベストな選択肢かわからずにいました。今の日本の研修制度では卒業後2年の初期研修が必須で、卒業してすぐ研究室に属すことも難しいということも知らなかったというのが実際です。
 そういった中で参加したこの研修は、何が自分に向いていて何を自分の強みとして研究していくのか。そういったことを新しい環境にいき他の価値観に触れることで、より柔軟に深く考えるきっかけとなり、またそれらについて自分なりの答え(そんなものはやってみないとわからない、まずは興味のある研究室にいってみようか。という答えと呼べないような答えではある)が出せた点でも非常に有意義な時間であったと考えています。

 このような意識の変化をもたらした最大の要因は、研修の先々や懇親会などで出会った人とのつながりでした。研修中、日中に臨床的なスキルを磨くプログラム(後述)に参加させていただけるだけでなく、夕方日本からNYへ来られて実際に働いていらっしゃる臨床医、研究医の先生方との会食の機会をたくさんもうけていただきました。
 お会いした先生方のNYに来られた理由は様々で、日本の医科大学をでてすぐ臨床研修でNYに来られた先生(『米国の臨床研修は非常に高度に画一化されていてどこの州でも素晴らしい研修を受けられる。ただ症例については銃ありドラッグありのNYの大学が一番おすすめ。』とのこと)や、日本の神経内科で臨床医をされていて一時的に米国で研究されている先生(『研究なら米国といった考えだけできてはいけない。日本と米国に10年の開きはもはやなく、日本がほうが優れた研究をしているという分野も多い。留学する場合は、進みたい分野、学びたい研究手法をしっかり絞るべきだ。こっちは研究者と臨床医がはっきり分かれているのに対して日本では臨床も研究もできるシステムがある。この点は向き不向きもあるだろうが熟考するべき違いだ。』と、両国の比較を示していただけた)など、中には会社からNYに出向された後、NYに残りたいという理由から米国の医科大学に入り直した先生(『NYには日本人医師も多くつながりも太い。想像しているほどNYで働くのは難しいことではない。』とおっしゃっていたのが印象的だった)など、あげればきりがないですが、ユニークなご経歴をお持ちの先生ばかりで、その行動力に圧倒させられました。
 研修を共に過ごした同級生、後輩に恵まれたことについても一言述べずにはおれません。学ばせてもらうこと、助けてもらうことしばしばで、研修が心から楽しいものだったといえるのは彼らによるところが非常に大きいと思います。

 次に参加したプログラムのうち3つ
 (PACE大学での医学英語講座、シミュレーションセンターでの医療面接実習、PHELPS病院でのACLS講習)について簡単に報告させていただこうと思います。

 PACE大学での医学英語講座では、多様な患者さん方に対応するため、いかに平易な表現でコミュニケーションをとるかということ、米国の抱える保険制度上の問題点などについて学びました。人種・民族・宗教・言語の違い、社会的格差の激しい米国だからこそ出てくるこういった問題の解決策を皆で模索する中で、日本の制度の長所、短所をより客観的にみることができました。
 シュミレーションセンターでの医療面接では、自分が診察を行っている姿をビデオカメラで録画し、帰国後に模擬患者さんによる評価表を添えて頂きました。普段の模擬面接をおえて思い出すこと、といえばアレルギー歴の聞き漏らし、といった自分のミスですが、患者さんからは身振りや姿勢、話しやすさといった医師の全体からでる雰囲気がより重要視されることに気付かされました。印象に残った日本との違いは、医師が待っている部屋に患者さんが入っていくのではなく、患者さんが待っている部屋に医師が出向くということです。時間が省けることや、患者さんが萎縮せず話しやすい雰囲気を作ることができるのが利点のであると思いました。
 自分は、日本でライセンスを取っていましたが、PHELPS病院でのACLS講習では、実際さながらのモニタリングや模型を使った骨髄路の取り方の実習など、詳細に教えていただいたことでより理解が深まりました。

 おわりに英会話について少し述べます。もし、英語圏に行ったことがない英語が話せない、と考え参加をためらっている方がいれば、自分はまずプログラムに応募してみることをおすすめします。というのも、教えてくださった先生、会食に参加してくださった方は、完璧とは程遠い英語にも寛容である方が多かったこと、なにより、一度、周りに英語しかない環境に身をおくということで英語に対する恐怖心が薄らぎ、帰国後の英語学習の効率が格段に上がるように思うからです。

 最後になりましたが、引率していただいたアンドリュー先生を始め、この研修プログラムを支えてくださったすべての方に感謝します。
 貴重な機会を与えていただき本当にありがとうございました。

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